家族について考えさせられる!漫画『海街diary』のあらすじや感想、解説

鎌倉 安国論寺漫画

皆さんの中にも「ずっと気になっていたけどなぜか手を出してこなかった作品」という存在が一つくらいはあるものだと思います。

私にとっては本日扱う漫画『海街diary』がそれにあたり、多分好きなんだとは思いつつも触れないままに日々を過ごしてしまいました。

しかし、いざ読んでみるとこれが本当に素晴らしい作品で、ぜひ皆さんにもその良さを語りたくなったのです。

そこで、なかなかに最悪な家庭で生まれ育った私だからこそ見えてくる「本作の良さ」というものを解説していきたいと思います。

1.漫画『海街diary』のあらすじ

神奈川県鎌倉市で暮らす三姉妹の元に、自分たちが幼いころに離婚して家を出て行った父の訃報が届いた。

次女・佳乃は15年以上会っていない父の死を特に何とも思えず、三女・千佳も父との思い出が殆どなくて佳乃と同じ気持ちだった。

それでも長女・幸の頼みで葬式に出るために山形へ赴いた佳乃と千佳は、そこで年齢の割にしっかりしている中学1年生の異母妹・浅野すずと初めて出会う。

葬式からの帰り、すずは幸から亡父のことで感謝の言葉をかけられ、堪えていた感情が爆発するように号泣した。幸はそんなすずに「鎌倉に来て一緒に暮らそう」と誘い、すずは快諾した。

出典:wikipedia

このあらすじからも分かるように、本作の主題は「四姉妹と鎌倉の街で繰り広げられるヒューマン・ドラマ」です。

作中で描かれる鎌倉・江の島の景色も大変美しく、私もつい先日聖地を巡礼してきました。

その様子は以下の記事にまとめてみたので、こちらをご覧ください。

しかし、本作はただ景色が美しいだけの日常モノではありません。

私のような「しょーもない家庭」に生まれた人間としては、本作で描かれている出来事や心情には共感の嵐が巻き起こってしまいました。

2.漫画『海街diary』の感想・解説(ネタバレ有)

海街diary メインビジュアル出典:小学館HP

さて、ここからはいよいよ本作の感想を思う存分語っていきたいと思います。

特に、家庭に問題を抱えていた人間にしか見えてこない部分も触れていけそうなので、家族に大きな不満のない方は読んでみると新たな発見があるかもしれませんよ。

なお、作品内容を分析していくためネタバレにはご注意ください。

1.嫌な親・嫌な親戚の描き方が非常にリアルで面白い

まず、本作を読んで真っ先に思ったことは「嫌な親・嫌な親戚の描き方が非常にリアル」であるということです。

作品内には、浅野家の両親をはじめとして「嫌な親」や「嫌な親戚」が数多く登場しています。

彼らの行動や心情は普通の方だとあんまりピンとこないかもしれませんが、私としては「めちゃくちゃわかる…」と感じました。

例えば、海猫食堂のさちこおばさんに残された遺産をめぐる一連の騒動は、実在の出来事をモデルにしているとしか思えないほど真に迫っているものです。

内容としては、彼女に残された母の遺産をめぐって音信不通になっていた弟が出張ってきて遺産をガメようとして、結局揉め事を抱えたままおばさんは病気で亡くなってしまいます。

その後は残された遺族や佳乃の勤める信金が遺言通りに遺産を分配することになるのですが、

・実態をもってしても法的な拘束力に逆らえないもどかしさ
・金が絡んだとたん目の色を変える親戚
・酷い酷いと聞かされていた表面的にはそこまで悪人に見えない

など、まあ親戚とお金で揉めた経験のある私としては「わかる!」といいたくなる要素が満載でした。

他にも、かつて自分の母が私はともかくまだ高校に入りたてだった弟を残して彼氏の家に泊まり込んでしまった経験から、三姉妹の母親である都の行動がどれほどリアルかを感じることができます。

漫画と同様に、いざ会ってみると別に取り立てて仲が悪いわけでもないのです。

しかし、私はともかく弟は「母親に捨てられた」と今でも恨みをもっているようですし、母は母で「確かに悪いことをしたとは思っているけど、でも仕方がなかった」と自己正当化を図っており、その溝が埋まることはないでしょう。

このあたりもまるで実際に体験したかのようなリアリティで描かれているので、「よくわかってるな~」と思いながら本を読んでいました。

2.作中の登場人物たちと自分の人生を比べながら読んでしまった

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本作の主人公であるすずは、父親の連れ子として山形に住む陽子のもとへと連れていかれ、そこで中学生までの時期を過ごします。

しかし、そこには既に陽子の家庭があり、彼女にとって決して居心地の良い場所ではなかったことが語られていました。

一方、私は本作で言うと佳乃や千佳と同じように、父親の記憶というものがほとんどありません。

幼いころに父は家を出てしまったので、母親一人に育てられることになりました。

ただ、母は女手一つで男兄弟を育てるという苦労があったのだと思いますが、最終的には精神を病んで仕事をやめ、引きこもり同然の状態で11歳年下の男と同棲しはじめたのです。

こうしてすずと私の経歴を並べてみると、自分はそこまで不幸でもなかったのかな、と素直に感じました。

その大きな理由としては、同棲相手の男が我々兄弟と歳も近く、すずの家に比べれば本当の兄貴分のように接してくれたことが大きいでしょう。

そういった意味でいくと、母親の交際相手だった男性は私にとっての「香田三姉妹」だったのかもしれません。

ちょうど母親が同棲を始めた時期も中学生ごろでしたし、タイミング的には似通っています。

もっとも、私のほうがすずよりも幸せだったのはそこまでで、すずが三姉妹というかけがえのない宝を手にしたのに対し、母の交際相手は私が高校三年生の頃に会社の資金を横領して蒸発しましたけど。

ちなみに、母が私と弟を実家に残して家を出ていったのはいまからちょうど2年前なので、ここも香田家から都が出ていったのと同タイミングです。

まあ、読んでいただければ分かるようにその時一緒に出ていった男は私の兄貴分とは別人なのですが…。

どうしてあのダメ親がそれなりにモテるのか、全然理解不能ですよ。

まあ、今さら母親の恋路に関心はないので「ご検討をお祈りいたします」以外にかける言葉は見当たりませんけど。

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