本日は広江礼威が描き、アニメ化やパチンコ・スロット化によって高い知名度を誇る漫画『ブラックラグーン(BLACK LAGOON)』のあらすじや感想について書いていきます。
原作は既刊11巻で、現在も未完結の状態になっています。
アニメは2クールの24話で構成されており、原作の良さを忠実に再現できているためアニメから入っても全く問題ないでしょう。
この作品は、「至高のB級作品」という印象があり、アメリカのB級映画好きにはたまらない作品に仕上がっていると言えます。
それでは、さっそく本編に参りましょう!なお、ネタバレ注意です。
1.『ブラックラグーン』のあらすじ
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岡島緑郎は旭日重工の会社員。重要なディスクを、ボルネオ支社まで船で運ぶ役目を担っている。だがその途中、「ブラック・ラグーン」と名乗る4人組に襲われ、緑郎は人質に取られてしまった。
ブラック・ラグーンは、クライアントからの注文を忠実にこなす裏社会の運び屋だ。旭日重工は、東南アジアへの非合法ルートを使って密貿易をしていて、クライアントは、自分たちもそれに一枚噛ませろと要求しているのだった。
旭日重工は機密を守るため、ディスクも緑郎も海の藻屑にしてしまおうと、ブラック・ラグーンの乗る船に攻撃を始める…
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本作は、一般的なサラリーマンの岡島縁郎が会社に見捨てられたために、「ロック」と名乗り非合法組織ブラックラグーンの一員として生きていくギャング・ストーリーです。
ブラックラグーンのメンバー、本拠地ロアナプラ、周囲の人々など、何をとっても「ワル」ばかりなのが特徴です。
2.『ブラックラグーン』の感想や解説、考察
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さて、ここからは『ブラックラグーン』の見どころと感想を書いていきます。
1.至高の「B級」作品!
さて、まず本作の何より特筆すべき点として、良くも悪くも「B級」感がたまらないという個所が挙げられます。
本作には、誰もは一度は憧れるようなワルカッコいい奴らが勢ぞろいしており、ド派手なアクションを繰り広げていきます。
さらに、悪人たちが集う街ロアナプラを取り巻く環境・登場人物たちの属性や個性・キザで粋なセリフ回し・ド派手なアクションなど、これでもかというほど色々な「ワルカッコよさ」が満載になっています。
この「やりすぎ」な感じがアメリカのB級作品を思い出させてくれて非常に好みです。
こうした本作の設定は、言ってしまえばすごく「あざとい」です。
「こうやってカッコいい悪人を演出すれば君たちは憧れちゃうんでしょ?」と言われているような気分にもなります。
しかし、悔しいですがそれでもなおカッコいいものはカッコいいのです。
これはいかにもなあざとい女を前にしても、顔やスタイルが良ければついつい惚れてしまうアレと似通ったところがあるように感じます。
つまり、理性は嫌がっていても本能が惚れてしまう、そんな作品だと感じています。
2.「ギャングとして生きること」というテーマとしっかり向き合っている
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ここまで、本作の魅力は「B級」なところを突き詰めている点だと述べてきました。
しかし、それだけではなく締めるところはしっかりと締められており、「ギャングとして生きるとはこういうことだ」という一面も描いています。
そのため、登場人物たちは「ギャングとして生きるということ」というテーマに向き合い、さまざまな感情をみせます。
孤児として捨てられ、悪事を働くことでしか生きられなかった「トゥーハンド」レヴィは、一般人のロックと出会うことで考え方に変化が生じます。
自分の生き方を否定するロックに反発を覚えつつも、一方でロックを気に掛ける様子もみせるなど、このあたりの人間らしさがレヴィの魅力であり、こういった様子が非常に上手く描かれていると感じました。
一方のロックも、今までただサラリーマンとしてしか生きてこなかった人生とは異なる環境に魅力を感じるようになっていきます。
そして、しだいにロックに対して理解を示しつつあるレヴィの逆を行くように、ロアナプラでも屈指の悪党へと変化していきます。
このように、互いに好意を寄せつつも生育環境が影響してなかなか噛み合わない心情には説得力があり、ギャングとして生きることの難しさを教えてくれるような気がします。
他にも、軍隊崩れでギャングになり切れないバラライカや、三合会の元警察官チャンなど、魅力的で謎多き脇役も非常に多いです。
さらに、敵も一癖もふた癖もある人物ばかりで、単純な三下タイプの悪役はほとんど登場しません。
特に双子やロベルタは人気も高いキャラたちであり、単純な「正義対悪」という構図にはなっていません。
こうした点も、凡庸なB級作品になっていない大きな要因でしょう。
3.個人的には日本編がお気に入り
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ブラックラグーンにはいくつかの大きな話のパートがありますが、個人的には特に日本編(Fujiyama Gangsta Paradise)が好みです。
話の内容としては、ごくありふれた女子高生でいたかった暴力団の娘である鷲峰雪緒が組織の抗争に巻き込まれる形でなし崩し的に組長に就任し、彼女の保護者兼若頭の松崎銀次とともにホテル・モスクワと対決の道を選択します。
そこに、ホテル・モスクワ側の人間であるロックとレヴィが乗り込んでいき、彼女たちと対峙することになります。
まず、日本編は今までのパートとは異なり、日本という一般的な国家を舞台にします。
そのため、抗争の様子にロアナプラでは感じなかった「異質さ」を感じることができます。
さらに、悲痛な運命を背負った雪緒と銀次は悪役と呼ぶにはあまりにもはかなく、降りしきる雪の演出がそのはかなさをさらに強調していました。
そして、当然ながら雪緒と銀次は生きながらえることはできず、二人の死をもって物語は幕を閉じます。
ここまではある意味「ファンタジー」であり、映画のスクリーンの中で行なわれているようでどこか陽気な雰囲気を感じられた作品が、日本編では一気にシリアスな雰囲気へと様変わりします。
このように、良くも悪くも「異質な」物語になっているため、かなり好き嫌いが分かれるのではないかと思います。
ただ、私としてはここまで陽気に描いてきた作風が日本編の魅力を引き立てているように感じています。
あの陽気さは、ある意味ロアナプラであるから許容されていたものです。
それを存分に体感した後、非常にシリアスで悲劇的な日本編を配置することで、より物語がもつ「はかなさ」が強調されているように思います。
また、日本に二人でやってきたレヴィとロックは、今まで以上に親密な間柄になります。
正直、日本編のレヴィはめちゃめちゃ可愛いです。今までとは別人のようになっていますし。
そんな二人が、よりにもよって一番「悪役らしくない」相手と戦うという構成が憎いほど素晴らしいです。
物語の根本はVシネによくあるものなのですが、やはり今までの積み重ねがあるためにありきたりなストーリーには感じないのでしょう。
4.ロベルタ復讐編以後はやや尻すぼみ感も
ここまでブラックラグーンを褒める内容を主に書いてきましたが、好きな作品とはいえ不満点もいくつかあります。
まず、新刊の発刊ペースが非常に遅いです。
9巻が2009年に発売されてからは、10巻は2014年に、11巻が2018年に発売されるなど、4~5年に1冊というペースになってしまっています。
これはちょっと遅いと言わざるを得ません。しかも、広江本人は同人活動やキャラデザで精力的に活動しているだけに、どうしても引っかかりを感じてしまいます。
また、9巻のロベルタ復讐編以降はやや蛇足感が否めないのも事実です。
10・11巻では中国人の女性ハッカーを中心とした話が展開されていくのですが、話がやや地味でキャラクターにも従来のとがった魅力がないように感じました。
正直、魅力の欠如は特に悪役にあたる人物たちに顕著です。
ただ、これは今までが本当に魅力的なキャラクター揃いだったためにこう感じてしまっているのかもしれません。
やはり、年数が開いてしまうと作風が変化してしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
まだ完結にはしばらくかかりそうなので、今後はまた素晴らしい新章が生まれることを期待したいです。
3.まとめ
ここまでいろいろと『ブラックラグーン』についての感想を書いてきました。
少し批判的になってしまった箇所もありましたが、私にとってかなり思い入れの深い作品だけにかえって気になる点が多かったのも事実です。
そのため、この作品が素晴らしいものであるということは疑いようもありません。
まだ触れたことがないという方は、ぜひ何かしらの手段で世界観を体感してほしいと思います。
ちなみに、私は『ブラックラグーン』をスロットで知りました。
このスロットがかなりの神台で、「鉄拳2nd」と並んで人生で最も打ったスロットかもしれません。
人気台なので続編もいくつか出ましたが、やはり初代が一番でした。
最近スロを打ち始めた方がいらっしゃいましたら、ゲーセンでもいいので一度打ってみてほしいところです。