高級珍味は美味しいのか?偶然食べたキャビアの味をレポートしてみた

黒キャビア取材・ルポ

世界に数多存在する「珍味」と呼ばれる食材。

その中でもトップクラスの知名度を誇る「トリュフ」「フォアグラ」「キャビア」を総称して「世界三大珍味」と定義します。

このくくり自体をご存知の方は非常に多いと思いますが、皆さんは実際にこれらの食材を口にしたことはありますか?

ちなみに私は今まで全くと言っていいほど縁がなかったのですが、昨今ひょんなことからその中の一角である「キャビア」を実食する機会に恵まれました。

そこで、この記事では「キャビア」について解説を加えるとともに、実際に食べた感想をレポートしていきたいと思います。

1.そもそも「キャビア」とは?製法や歴史を紹介

チョウザメ 水中

さて、実際に食べてみた感想をまとめる前段階として、

そもそも「キャビア」とは一体なんぞや?

という点をスッキリさせてから本論に入っていきたいと思います。

皆さんもなんとなくは知っているけれど、「詳しく説明してください!」と言われると言葉に窮してしまうのではないでしょうか。

1.チョウザメの卵を塩漬けにしたもの

キャビアが何かしらの魚類の卵から製造されているということはなんとなくピンとくるかもしれませんが、結論から言えばカスピ海やアムール川流域に生息する「チョウザメ」という魚の卵をベースにした加工食品といえます。

このチョウザメから収穫した卵を8%~10%の塩水につけることによって味付けをし、樽や瓶に詰めることで保存がなされるようです。

そもそもチョウザメが生息している地域を見ても分かるように、キャビアはロシアなど北方の国で名産品として重宝されています。

我々は「黒色」を想像しがちですが、モノによっては緑や金のものもあるようで、言うまでもなく金色に輝いているキャビアは特に貴重とのこと。

また、

・そもそも製造に手間がかかること
・チョウザメからしか入手することができないこと
・現代ではチョウザメの取引が制限された状態にあること

から、必然的に高価な食材へと様変わりしていったようです。

上記の理由でいわゆる「本物のキャビア」は価格が暴騰しており、ほかの魚が生む卵を同じような製法で代用することでキャビアをうたう場合もあるほど。

ただ、言うまでもなくそれらの代用品は「キャビア」とは認められないようです。

2.歴史は浅く、16世紀のロシアで生まれたものか

この「キャビア」という食品が生まれたのは意外と新しく、資料によれば16世紀後半のカスピ海付近で製造が確認されています。

卵を塩漬けにするというと一見簡単なのでもっと古くから製造されていてもいいような気はしますが、単なる塩漬け肉とは違って複雑な製法を要するため時代を下っているのかもしれませんね。

誕生したキャビアはその味をすぐに認められたようで、17世紀以降はロシアの宮廷料理として親しまれるようになりました。

また、その美しい外観と高級料理としてのステータスから西欧諸国にも普及していき、フランスの王朝などで高級食材として珍重されるようになっていきます。

こうして高級食材としてのキャビアは世界的に認められるようになったわけですが、近年になると最大の産地であるカスピ海でのチョウザメ漁獲量が深刻な低迷をみせるなど、この食材をめぐる現状は穏やかではありません。

その原因は密漁とも温暖化ともささやかれており、国際的にも様々な条約を締結することでチョウザメの保護が進行しているのです。

もっとも、この漁獲量制限は必然的に価格の面で直接的な影響が生じており、珍味の中でもより希少な高級食材へと様変わりしつつあります。

3.日本に伝わったのは大正時代後期か

現代では日本においても広く親しまれているキャビアですが、我が国に伝わったのは大正時代の後期であると言われています。

キャビアが生み出された江戸時代には当然ながらロシアとの貿易がストップした状態にあったわけで、日本には伝わっていなかったと考えるのが自然でしょう。(オランダ経由の情報で、食材の存在については把握されていたかもしれません)

その後は明治時代に入ってロシアとも関係を構築していくことになるのですが、皆さんもご存知のように大日本帝国と帝政ロシアは満州地域の利権をめぐって対立関係にありました。

最終的には日露戦争という形に発展していく不和が生じていたことにより、明治時代にキャビアが日本へと普及しなかったのではないかと思います。

食材の情報そのものは今でいうところの「グルメガイド」に登場するくらい知られていたみたいですが。

ところが、転機となったのは大正時代の後期。

この時代には帝政ロシアが崩壊してソ連が誕生したため、かつて権力に近い場所にいたロシア人たちが日本へと数多く亡命してきました。

そこで、彼らが「高級ロシア料理」という形でキャビアを紹介し、そこから日本でも普及していったようです。

つまり、早い話が「帝政ロシアの崩壊によって日本でキャビアが普及した」ともいえるわけで、意外な革命の副産物が誕生していたということになります。

やはり歴史というものは面白いですね。

2.実際にキャビアの味を確かめてみた

さて、ここまでの内容からキャビアという食材の大まかな概要をつかめたのではないかと思います。

いよいよ、私が実際にキャビアを食べて感じた味や印象についてを解説していきます。

「貧乏暮らし」を掲げる私がなぜキャビアを食べることになったのか。そこにはとある偶然が隠されていたのです。

1.バイト先にイラン人の医師がやってきた

そもそもどうしてキャビアを食べることになったかというと、そのきっかけは私のバイト先にあります。

守秘義務が多いバイトなので話せないことも多いのですが、私は都心のとある事務所で学生事務員として仕事に励んでいるのです。

なにぶん都心ということも影響して、バイト先には政治家や弁護士の先生など様々な方が来客として訪れます。

その来客の一人が、世界中を飛び回っているイラン人の医師の方でした。

話を聞いていると非常に「儲かる」タイプのお医者様と思われ、驚くべきことにお土産としてバイト先に「キャビア」を差し入れてくださったのです。

私は現物を見て感動していたのですが、バイト先の上司はたいして驚いた様子もありませんでした。

それもそのはずで、私の上司は日本でもトップクラスの名家に生まれています。

別に今さらキャビアごときで何も感じないよ、といった様子を見せていました。

2.要らないならくれ!と言うとアッサリ許可が出た

私としては、初めて生で見たキャビアをぜひとも食べてみたい、そう感じました。

単純に「いったいどんな味がするのだろう」という知的好奇心もありましたし、「ブログネタとしておもろいな…」という打算的な考えもありましたが。

そこで、

特にいらないんであればちょっと食べさせてもらってもいいですか?

と尋ねると、

食べたい?別にいいけど怪しい医者のだからお腹壊すなよ(笑)

とアッサリ快諾されました。

いかにも興味なさそうな感じだったので、やはり食べ慣れているんでしょうね…。

3.いよいよ実食!外観はさすが世界三大珍味

許可を取り付けたところで、さっそく食べてみることにしました。

まず、キャビアが入れられた容器はこのような感じになっています。

キャビア 外箱

さすがは高級料理。いかにも高そうなオーラを出してきますね。

そして、箱を開封して出てきたキャビア缶がこちら。

キャビア キャビア缶

写真で見るよりも実物は非常に小さく感じられ、半径にすると2センチ程度しかなかったように記憶しています。

しかし、これでも立派なキャビアであることには違いないようで、上司に

ちなみにこれっていくらくらいするもんなんです?

とお伺いを立てると

一応生だし養殖じゃないしな~、まあ数万円はするかなあ

という返答が返ってきました。

「えっ、こんな小さい容器に入っている食材が数万円するんですか…」

と半ばあきれてしまいましたが、なおさら味のほうが楽しみになってきました。

そんなに高級な食材なら、味も保証されているに違いない。そう考えたからです。

しかし、その期待は大きく裏切られることになってしまいます…。

4.味は…ちょっと塩みの強いイクラかな…

容器のフタを開封すると、そこには「黒い真珠」と例えられる美しいキャビアが敷き詰められていました。

キャビア

写真がイマイチで伝わらないかもしれないのですが、確かに外観は美しいものがあります。

高級料理にふさわしい上品さを兼ね備えているように感じました。

そして、いざスプーンでキャビアをひとすくいし、口に運んでみました!

キャビア スプーン

口の中に放り込むと、まず第一に広がったのは「磯の香り」というやつです。

その後、つぶを噛んでみると強い塩気を感じました。製法を見れば分かる通り、非常にしょっぱい食品なのです。

しかし、結論から言ってしまえばキャビアを食べた上での感想はこんなもんで済んでしまいます。

そもそも非常に小さい食品ですし、何かものすごく語るべきことがあるわけでもないからです。

皆さんにも伝わるように分かりやすく身近な食材で例えてみると、

「ちょっと磯臭く、塩辛いイクラ」

といったところでしょうか。

とはいえ、私は自他ともに認める貧乏舌。キャビアをよく食べているであろう上司に感想を伝えてみると

そりゃそうでしょ~。だって直で食べるもんじゃないし

と返されてしまいました。

考えてみれば、確かにキャビアを直食いしても仕方のないことでした。本来はパンに載せたり酒のつまみにするもので、単体の料理ではないのです。

しかし、それを差し引いても特に美味しいとは感じなかったこともまた事実。すると、

そのキャビアはイラン製だから、日本人の舌にはあんまり合わないのよ。日本で作られる奴はもっと日本人向けになってるからね。

と言われました。

確かに、食感を振り返ってみると「海外製品にありがちなクセの強さ」を感じましたし、上司のいうことは恐らく間違いないのでしょう。

というわけで、結論をまとめると以下のようになります。

私としてはキャビアを買うくらいならイクラをたらふく食べたいかな…

3.まとめ

ここまで、世界三大珍味の一角「キャビア」に関する記事を書いてきました。

やはり、世界三大珍味はあくまで「珍味」であって、「美味」ではないのかもしれません。

そもそも、高級食材というのは「希少価値」そのものが重要ということも珍しくありませんし。

決して不味いというわけではないのですが、値段を考えたら私にはイクラでも十分すぎるくらいです。

ただ、決して自分から購入することがなかったであろうことを考えると、これもまた貴重な経験であったことは間違いありません。

面白いバイト先に感謝したいですね。

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