映画『ビフォア・サンセット』のあらすじ・感想!3部作の2作目にあたるビターで大人な恋愛映画

映画

今回は先日紹介したビフォア・サンライズの続編にあたる、映画ビフォア・サンセットのあらすじと感想を紹介していきます。

前作はかなり好みだったのですが、続編になっていま一つな映画というのは珍しくありません。今作の出来はどうなのでしょうか。

さっそく、本編に入りましょう!

いつものことですが、ネタバレを含みますのでご了承ください。

なお、映画の基本情報についてはほぼ前作と同様なので、以前書いた記事をご参照ください!

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1.『ビフォア・サンセット』のあらすじ

画像出典:Amazon

9年前、ユーロトレインの車内で偶然出会い、ウィーンの街で一夜だけを共にしたアメリカ人のジェシーとフランス人のセリーヌ。

半年後の再会を約束したものの、それは果たされぬまま9年の月日が流れた。作家となったジェシーは、パリの書店で行なわれたキャンペーンの席で遂にセリーヌとの再会を果たす。

喜びを分かち合う2人だったが、彼らに残されていた時間はジェシーがNY行きの飛行機に乗るまでの、たった85分間。

2人はパリの街をさすらいながら、9年の空白を埋め合わせるかのように、それぞれの思いを語り合うのだったが…。

出典:allcinema

2.『ビフォア・サンセット』の感想・見所

さて、前作『ビフォア・サンライズ』を観てすぐに続編を観た私。前作のラストで交わされた約束は果たされないのかもしれない…と思っていたら案の定

舞台は9年後のパリでした。小説家として成功したジェシーは、パリの書店で公開インタビューを受けていました。そこにふと現れたのが、9年前の「運命の人」セリーヌです。

二人はすぐにパリの街を歩きはじめました。

1.ジェシーは小説家に、セリーヌは慈善活動家に変わった


画像出典:https://die7.hatenadiary.org/entry/20131222/1387783151

まず、当然ですが9年という歳月がたっているので、変わったこともたくさんあります。

二人は9歳の年齢を重ねました。社会的立場や外見にも、明らかな変化がみられます。

ジェシーは小説家に、セリーヌは慈善活動家になっていました。

また、当然ですが外見も少し老けてみえました。しかし、私的にはむしろ大人らしくなった、という印象が強く、くたびれて見えるということはありませんでした。

特にジェシーを演じるイーサン・ホークは、むしろ男前に磨きがかかったようにさえ感じられました。

流石はハリウッドスターですね。

ただ、この9年という年月での変化は、二人にとって決して小さいものではありませんでした。たとえそれが真実の愛であったとしても、年月がもつ力を実感させられることになるのです。

この点に関しては、後ほど詳しく解説します。

2.ジェシーとセリーヌの相性は変わらなかった


画像出典:https://drafthouse.com/show/before-sunset

しかし、変わらなかったこともあります。まず、二人の相性です。

さまざまなものが変わった彼らでしたが、ひとたび歩きはじめると9年前と同様、すぐさま気の合う会話を展開するようになります。

その様子は、まるで昨日会った友人と再会した時のようです。

また、二人の性格も変わっていませんでした。

軽妙なジョークを飛ばすジェシーと、エネルギッシュなセリーヌ。こういった内面は、9年の変化を感じさせませんでした。

作中でも、「根本的な性格は変わらない」というようなセリフもありましたが、これはその通りだと思います。よほどの出来事がなければ、根本的な性格の変化は起こらないと思いますし。

3.変わったことと変わらないことのせめぎあい


画像出典:https://chrisandelizabethwatchmovies.com/2014/02/12/before-sunset-2004/

こうして、変わったものと変わらなかったものがあることがハッキリしてきました。

では、肝心の「想い」という部分はどうだったのでしょう。

結論からいえば、二人の「想い」という部分は、9年間という期間で少しずつすれ違ってしまっていたのです。

まず、前作ラストの半年後の再会を誓った約束を破ったのは、セリーヌでした。

これはジェシーが約束通り指定された日付に待ち合わせ場所へ向かったのとは対象的な結果です。ただ、約束を忘れていたというわけではありませんでした。待ち合わせの直前に、祖母が亡くなったことで葬儀に赴く必要があり、やむを得なかったのだと説明します。

正直、「ホントかよ~」と思わないでもなかったですが、この疑惑はこの後の内容的に考えれば、杞憂でした。よかったよかった。

ここまでの内容から、セリーヌの不義理をなじりたくなるのは分からないでもないですが、ジェシーにも重大な隠し事がありました。

それは、9年間の間で結婚し、子どもをもうけているという事実でした。もちろん、小説の内容に前作の一夜を使っているくらいですから、愛情がなかったという訳ではないのでしょう。

しかし、ジェシーは「良き父」でありたいと願っていました。そのため、先の見えない運命の糸を手繰ることよりも、現実的な生き方を優先したということなのでしょう。

しかし、一方のセリーヌはいまだにあの一夜を忘れられず、恋愛に希望をもつことができないでいました。

こうしたすれ違いが、映画が終盤に近づくにつれて明らかになっていきます。

4.はじめての口論で、お互いの痛みを知ることに


画像出典:https://www.imdb.com/title/tt0381681/

こうしたすれ違いは、空港へ向かう車の車内でついに感情の爆発へとつながります。

セリーヌは、自分が恋愛に苦しんでいる間に家庭をもちつつ、自分への変わらぬ愛を語るジェシーに怒りを露わにします。

しかし、それに対してジェシーも、自分の結婚生活が破綻寸前であることを明かし、理想と現実の狭間で苦しんでいることを告白します。

こうしてお互いの痛みを知った彼らは、「人は自分だけが傷ついていると思い込んでいる」ということを実感したのです。

これは誰しも経験があるのではないでしょうか。とくに、私なんかは人の気持ちが分からない系の残念な人間なので、何回か似たようなことを言われた記憶があります。

その後、お互いを知って気持ちを落ち着けたジェシーは、セリーヌを家まで送りとどけます。その際に、ジェシーはセリーヌの家に上がり、セリーヌの作曲したギターワルツをリクエストします。そこで演奏されたのは、ジェシーへの想いを歌った一曲でした。

5.真実の愛や運命の人も、時間には逆らえない

ジェシーにとってのセリーヌが、またその逆が、果たして運命の人だったのか。あるいは、そこには真実の愛があったのか。という点については、もちろん模範解答があるわけではありません

しかし、客観的にみればそれは運命的であり真実のものであったように感じました。

それでもなお、時間というものは残酷です。これだけの出会いかたをして、相性が最高だったとしても、すれ違いが起こってくる。ある意味、とってもリアルな映画でした。

ただ、二人の場合順調な人生を歩んでいてよかったなあ、と思います。再会した際に、片方が無職なんていうのはたまったものではないですからね。

もっとも、現実の場合は容易にそういったことが起こり得るのも恐ろしいところです。

思い出は、思い出のままのほうが美しいこともある

そういった教訓を得ることができる映画でもあると思います。

3.まとめ

今回は、映画『ビフォア・サンセット』のあらすじと感想を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

今作は、前作に比べるとイベントや脇役との関わりのような点で発揮されていた「若さ」を感じる成分が控えめであった一方、「大人」な成分が増やされた、少しビターな映画に仕上がってた印象です。

ただ、前作同様面白い映画であったことには変わりありません。

しかし、「ビフォア」シリーズの最終作『ビフォア・ミッドナイト』もすでに視聴済みなのですが、これは正直あまり好みじゃなかったので、記事を書くかどうかは未定としておきます。

気が向いたら書きますので、よろしくお願いします。

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