漫画『新世紀エヴァンゲリオン』のあらすじや感想・考察!(ネタバレ有)旧劇やアニメとの違いも検証

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今回は、いよいよ公開が来年に迫った新劇場版最終作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が無事に公開されることを祈りつつ、実は新劇場版しか観たことない、あるいはまだエヴァを観たことがないという方の旧エヴァ入門に最適な漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の簡単なあらすじや感想、考察などを紹介していきます。

また、既に旧作を観ている方にも、アニメ・旧劇場版との違いについても解説していくので、エヴァに興味がある方には楽しんでいたただけると思います。

なお、ネタバレがありますのでご了承ください。

1.漫画「新世紀エヴァンゲリオン」のあらすじ

画像出典:Amazon

あらすじに関しては従来放送されてきたTVアニメと全く同じなので、軽い紹介にとどめます。

時は西暦2015年。

南極の氷雪溶解による世界的危機(セカンドインパクト) から復興しつつある時代。

箱根に建設中の計画都市、 「第3新東京市」に突如襲来する“使徒”。

彼らはその正体も目的も不明だが、 さまざまな形態・特殊能力で人類に戦いを挑んできた。

この謎の敵“使徒”に人類が対抗する唯一の手段が 「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」である。

国際連合直属の特務機関「ネルフ」によって主人公「碇シンジ」を含む3人の少年少女がその操縦者に抜擢された。

今、人類の命運を掛けた戦いの火蓋が切って落とされる。

果たして“使徒”の正体とは?少年たちの、そして人類の運命は?

パワフルなバトルアクション。謎また謎のスリリングなストーリー。少年少女達の葛藤、そして心の成長。

ダイナミックに展開する、本格アニメドラマです。

出典:ガイナックス

このあらすじだけ読むと、「王道SFロボアニメ」みたいな雰囲気を感じます。

ただ、アニメ版はそれはそれは難解なストーリーで構成されているので、正直このあらすじっぽいストーリーが展開されるのは、せいぜい「男の戦い」くらいまででしょう。

しかし、漫画版は基本的な設定こそアニメ版と変わらないものの、作風が随分と明るくなったので、このあらすじがある意味そのまま表現されているように感じます。

2.漫画「新世紀エヴァンゲリオン」の感想・解説(旧劇・アニメとの違い)

さて、基本的なストーリーは最終盤までアニメ版・旧劇場版とほぼ同一です。つまり、全14巻で構成されているストーリーのうち、13.5巻はほぼ同一のストーリーといえます。


画像出典:https://thetv.jp/news/detail/151333/

シンジがエヴァに乗り、使徒を倒せども倒せども消耗していくばかり。そしてすべての使徒を倒した……と思ったら、人類補完計画が始まってしまう。

ここまでの概要はほぼ同一です。また、難解さがないとはいいませんが、良くも悪くもわかりやすい世界観に書き換えられているため、エヴァのストーリーを知りたいというライトなファンには最適です。

しかし、それならば、エヴァ入門書としてはいいけどファンは読む必要がないのでは?

と思われるかもしれませんが、ここまでの内容でのミソは「ほぼ」同一という点です。

つまり、ファンであればファンであるほど、その細かな違いに気づいてそれを楽しむことができるのです。

1.ファンには分かる、細かな違い

例えば、キャラクターの性格が微妙に違います。

分かりやすいところでは、シンジがちょっぴり男前で前向きな性格となっており、終盤にはカヲルに対し「前歯全部折ってやる!」という、衝撃的な発言をしています。


画像出典:https://tapittalk.com/eva-shinji/

シンジにそんなことを言える度胸がなかったことは、ファンの方ならよくご存じでしょう。

その他にも、省略されている使徒がいる、生死が異なるキャラクターがいる、あの謎めいた二枚目キャラクターの過去がはじめて明かされるなど、既存のファンにも嬉しい要素が数多くつめこまれています。

また、漫画版は完結になんと19年の歳月を要したため、私を含めファンは待たされ通しでした。

しかし、今ならすぐに全巻読めますので、漫画を一気に読みたいという方にもおすすめできます。

2.大きく異なるラストシーン

そして、先ほど触れた14.5巻は同一、という一文に話を戻します。

これはつまり、0.5巻分は異なる点があるということです。

その最大の違いは、最終巻である14巻目の途中から訪れます。

この部分は、アニメ版では旧劇場版第二作Air/まごころを君にの終盤にあたります。旧劇では、シンジが人類補完計画を否定し、アスカとただ二人LCLの海で生き残ります。

そこで、シンジはアスカの首に手をかけ、それを絞めます。意識を失っていたアスカはそのことに気付くと、そっとシンジの頬を撫でます。


画像出典:https://ameblo.jp/evacollection/entry-12107130631.html

すると、シンジは突如としてその手を離し、泣きじゃくります。

それを見たアスカが「気持ち悪い」という衝撃的な一言を残し、物語は幕を閉じます。

…正直、初見の私は「なんなんすかこれ?」という感想しか出てきませんでした。その後、考察サイトなどをみていくといろいろと捉えようのあるラストシーンだということは理解できましたが、少なくとも「限りなくバッドエンドに近いビターエンド」であるということは間違いなさそうです。

しかし、漫画版はこうした意味深長なラストシーンではありません。

人類補完計画の失敗後、世界は何事もなかったかのように再構成されます。そこでは、シンジは普通の中学生として日々を過ごしています。すると、上京する電車内でアスカに出会います。

しかし、二人はまるで初対面のように振舞います。おそらく、出会った記憶がなくなってしまっているのでしょう。その後、シンジはミサトが愛用していたペンダントを握りしめ、明日への希望を語り物語は幕を閉じます。

う~ん、わかりやすいですな(旧劇場版比)

ただ、物語として筋が通っていてわかりやすいのは確かなんですが、エヴァ特有の「意味深長さ」があまり感じられないというのも事実です。

これは、作者の貞本さんの解釈がたぶんに反映されているためでしょう。ここは好みの問題だと思います。

3.漫画「新世紀エヴァンゲリオン」の考察

さて、エヴァの考察は一時期ブームになったこともあり、既に星の数ほど考察が存在します。

そのため、既存部分の考察と、材料が少なすぎるという理由でラストシーンの考察は省略します。

気になる方は、ぐぐってみれば大量にでてくるのでお試しください。

ここで考察するのは、最終巻に掲載されていた外伝エピソード「夏色のエデン」についてです。

ここでは、ゲンドウやユイの学生時代の一幕が描かれており、物語の鍵を握っているにもかかわらずあまり描写がなされない彼らの過去を知るための重要な手がかりになっています。

さらに、最大の注目点は、新劇場版で初登場した新キャラクター「真希波・マリ・イラストリアス」が、このエピソードに登場するという点です。


画像出典:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1357879445

マリは、エヴァのパイロットでありながら、さまざまな謎が付きまとう人物でした。

まず、司令であるゲンドウを「君」付けで呼びます。マリからすれば一回りも二回りも年上の存在であり、立場も同様です。普通であれば、そのように親しげな呼びかけはしないでしょう。

また、作中で本来はアスカの機体であるエヴァ弐号機と、容易にシンクロしてみせ、さらにネルフの機密事項である「裏コード」の存在を知っていました。

他にも、レイの姿をみて、マリが日本に来るはるか昔に死亡しているユイの存在を示唆する、エヴァの呪縛というシステムによりエヴァのパイロットは年を取らないことが明かされるなど、異質な存在であることが示唆されていました。

このエピソードは、ユイやゲンドウがまだ大学生であった1998年を舞台にしています。ここで登場するのが、2年飛び級で入学した少女でした。

この少女は作中でユイやゲンドウと触れ合いますが、その正体はマリであることが最後のコマで明かされます。

このエピソードから、マリの実年齢はユイやゲンドウに近く、ネルフ創設メンバーと深いかかわりがあったことが確実になりました。これで、マリに関する異質さは概ね明かされたといえるでしょう。

もちろん、この事実が判明したところで、その正体が完全に解明されるわけではありません。ただ、こうした設定が明かされたことで、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が待ち遠しくなったことは紛れもない事実です。

マリの秘密が明かされることになるのか、2020年に答えが出ることを期待しています。

4.まとめ

ここまで、漫画「新世紀エヴァンゲリオン」についてさまざまな点から紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

その分かりやすさから、エヴァの入門書としても楽しめますし、細かな設定や新要素から、既存のファンも楽しめる作品になっています。

完成度の高い漫画なので、ぜひ一度読んでみてください!