ネット住民が頼りがちなウィキペディアの使い方を徹底解説!問題点も少なくない?

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2.私が考える、有用なWikipediaの使い方

書架 山積み

ここまで、ウィキというサイトの問題点をいくつか指摘してきました。

しかし、誤解していただきたくない点として、上記を踏まえた結論が

「だからウィキは使えないし使っちゃダメ!」

というものでは決してないということです。

確かに論文や信頼できる文献と同じような使い方をするのは難しいですし、参考文献一覧にウィキの名を書き込んだレポートは受領されにくいでしょう。

しかし、これだけ大量かつ細部にわたるまで情報が残されているサイトを「無用」として切り捨てるのは、実にもったいないというのもまた事実。

そこで、ここからは私が推奨したいウィキの有用な使い方を紹介していきたいと思います!

1.知的好奇心を刺激するためのウィキ閲覧は効果的

そもそも、何かものを知るためには、往々にして我々の内から湧き上がる「知りたい!」という知的好奇心の存在が欠かせません。

誰かの指令で調べるならばともかく、自分の意志で調べる場合には必ずこの心理が作用してきます。

その「知的好奇心」を刺激し、実際の行動に結びつけるツールとしてウィキの存在は非常に有用であるといえるでしょう。

例えば、ドラマを視聴して「織田信長」という人物のことを知りたくなったとします。

仮にウィキが存在しなければ、図書館に行って彼に関係する書籍を閲覧してみるのが近道になるかもしれません。

しかし、この方法は心理的ハードルが多少高く、人によっては発生した好奇心を無に帰してしまう可能性は少なからず存在します。

そこで、ウィキの出番がやってくるのです!

ウィキがあれば自宅でググるだけで「織田信長」に関するおおよその生涯を知ることができますし、そこからさらなる探求に繋がっていくかもしれません。

確かに内容が不正確な可能性は少なからず存在しますが、こと「知的好奇心を刺激する」という役割自体は果たすことができています。

ウィキを読んでみて興味が減退するのであれば仕方がありませんし、逆に文献を読み漁る終生の趣味になるかもしれません。

「気軽にザックリと」知ることができるウィキの機能は意外と大切なのです。

2.ページ内のリンクから様々な記事にジャンプできる

上記の「知的好奇心」と関連してなのですが、ウィキは書籍と異なりページ内に様々なリンクが用意されています。

これは非常に有用であり、ページを読んでいく中で閲覧前は予想だにしていなかった部分に興味を持ったとしても、すぐにそのことを知れるというのが素晴らしいです。

例えば、先ほどと同様に「織田信長」に興味を持ってページを閲覧したとしましょう。

信長の生涯を追っていくと、どうやら彼の人生には「明智光秀」という武将が大きく関わっていると分かります。

そこで、本能寺にて信長を殺害した光秀の生涯を詳しく知りたくなるかもしれません。

こうした場合、ウィキであれば信長のページから一瞬で光秀のページにジャンプすることができ、かなり容易に「知的好奇心」「知識」へと繋げることが可能です。

これが本であれば、光秀の生涯を詳しく書いた本を再度探し直さなければなりませんし、ちょっとした興味という程度の関心であればやはり手間に感じてしまうかもしれません。

もちろん、ざっくりと生涯を知った後は知識の信頼性が保証されている文献をあたってみるという作業もできる限り行ってほしいところではありますが。

3.「リファレンス対象」として学術的な研究にも活用できる

ここまでの使い方は、あくまで「趣味」や「ちょっとした読み物」程度の場合に使える方法でした。

しかし、やりようによっては「学術的な研究」にもウィキを活用することができます。

その方法とは、ウィキの内容をそのまま参考にするのではなく、ウィキのページ構成や文献リストを参考にするという「リファレンス」用の使い方です。

例えば、ウィキのページ構成はレポートや記事の章立てや見出しに生かすことができます。

私が実際に活用したページとして、仕事で原稿依頼があった明智光秀と羽柴秀吉の戦である「山崎の戦い」の一例をご紹介しておきましょう。

私が参考にしたのは、「戦に関して『背景』・『経過』・『戦後』の三区分で描写している」という部分と、「参考文献表」です。

特に、参考文献についてはウィキを見るまで集めるのが大変で困っていました。

論文ではなく記事の場合に普段は大学の蔵書検索データベースを利用するのですが、「山崎の戦い」のみを取り上げた書籍がなかったため、膨大な秀吉に関する本の中から節単位で内容を探さなければならなかったためです。

その作業はなかなかに面倒で骨が折れるものでしたが、ウィキを見ると簡単に解決することができました。

実際の参考文献リストがこちらです。

・帝国陸軍参謀本部編『日本戦史 山崎役』村田書店、1920年/1979年。

・高柳光寿『明智光秀』吉川弘文館〈人物叢書〉、1958年。

・河野豊、「疾風怒濤の大返し―山崎の合戦」 『羽柴秀吉怒濤の天下取り』 学研〈歴史群像シリーズ〉、1987年。

・桐野作人、「大軍で制した天下取りの起点―山崎の戦い」 『豪壮秀吉軍団』 学研〈歴史群像シリーズ〉、1992年。

・谷口克広、「中川清秀 野心家、最後に秀吉の囮とさる」 『豪壮秀吉軍団』 学研〈歴史群像シリーズ〉、1992年。

・藤田達生『謎とき 本能寺の変』講談社〈講談社現代新書〉、2003年10月。ISBN 4-06-149685-9。

陸軍が編纂した『日本戦史』に関しては記載も古く内容が不正確なため参考外ですが、その他の文献についてはひととおり知ることができました。

特に、藤田達生氏の『謎とき 本能寺の変』については、他の本能寺関係の本には同戦の内容が記載されていなかったため、危うく見落としてしまうところでした。

結果的に手に入れることができなかったものもありましたが、少なくとも「この本にはこうした内容が書いてある」という知識が広がったのは事実です。

ちなみに、私のような悩みで困った場合、ウィキにも参考文献リストがないことは珍しくありません。

その場合は、素直に論文検索サイトのCiNiiを活用しましょう。

それでも論文が出てこなければ、そもそも世の中に知りたいトピックを取り上げた文章が存在しない可能性もあります。

もちろん、可能であればそこから論文を執筆してしまっても問題ないのです。

3.まとめ

ここまで、百科事典サイト「ウィキペディア」の問題点と有用な使い方を解説してきました。

確かに課題の多いサイトではありますが、その一方でこれだけの情報をまとめた百科事典サイトの存在はやはり貴重です。

これを生かさないのは損をすることにも繋がりますので、直接引用や参照ではない副次的な使い方をしていくとよいでしょう。

なんでも物は使いようなのです!

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