インターネットで情報を得ている方ならば一度は目にしたことがあるであろうサイト、それが「Wikipedia」(通称:ウィキ、Wiki)です。
誰でも編集が可能な世界最大の百科事典サイトで、日本語の記事も非常に充実しているのが特徴です。
しかしながら、結論から言えば「情報源」としてのウィキにはかなりの問題点が…。
そこで、この記事ではウィキが抱える課題や問題点を指摘し、その後に有用な使い方を解説していきます!
1.Wikipediaが抱える課題・問題点
画像出典:Wikipedia
冒頭でも述べているように、ウィキは非常に便利なサイトです。
それゆえに、ちょっとした調べ物から学術的な研究に至るまで、同サイトを活用したことのある方は多いでしょう。
しかし、その一方で「ウィキを使って調べ物をしてはいけない!」と言われた経験がある方も多いハズです。
その理由は、一般に「書き手が分からず、誰でも編集ができるから内容に信頼がおけない」と説明されます。
これももちろん間違いではないのですが、上記以外にも実は様々な問題をウィキが抱えているということはご存知でしょうか?
以下では、意外と知られていないウィキの問題点を指摘していきます。
1.ウィキペディアンによる編集合戦が巻き起こっている
基本的に、ウィキの良さは「誰でも編集ができる」という点です。
それゆえに誰もがウィキというページに手を加えることができ、情報を素早く更新することができます。
しかしながら、厳密に言えば現状のWikiは「ウィキペディアン」という「ウィキの編集を趣味にしているネット住民」に支配されているという見方ができてしまいます。
この「ウィキペディアン」という人々がどのような生態をしているかを示す有用な研究として、東工大工学部の澤田一樹氏によって書かれた「ウィキ麻薬に溺れるウィキペディアンたち」という賞論文を発見したので紹介しておきます。
同論文内の記載を一部引用して紹介すると、
つまり、ウィキペディアンはそもそも、一般の利用者だけが甘い汁を吸っているだとか、そう
いったことは考えてもいなかったのだ。彼らは、”自分自身”だけのために記事を書いている。自分が楽しいからやる、自分の知識や考えを他人に認めて欲しいからやる、他人が得しているかどうかなど、彼らにとってはどうでもいいことなのだ。
むしろ、記事を読みに膨大な数の人々が訪れるウィキペディアは、彼の欲する場所であったのである。
というように、「ウィキペディアン」という人物たちはある意味で私利私欲のために記事を書いていることが理解できるでしょう。
これが発展してしまうと、一般に「正しい」とされる内容であっても、ヘビーな「ウィキペディアン」たちの一存によって情報が削除される、という事態が起こり得ます。
気に入らない記事には「要出典」や「出典がふさわしくない」などの難癖をつけ、一日中PCに張り付いて内容を書きかえ続けることで「都合のいい真実」を生み出すことも可能なのです。
実際、こうした問題は現実のものとして起こり続けています。
確かに、大多数の「ウィキペディアン」は真っ当に情報提供を行っているでしょうし、編集合戦も記事内容を精査するうえでは有用なことも多いでしょう。
しかしながら、これだけ不安定な情報源であることを認識できれば、記事を引用したところで「信頼できるソース」と呼べない理由がよく理解できるのではないかと思われます。
2.情報が古いまま放置されていることも
情報の鮮度、という点に関してウィキは一見すると対応が早そうなイメージがあります。
しかし、それはあくまで「人気や注目を浴びているページ」に限ったことで、そうでないものに関しては俗説や通説がいつまでたっても放置されているという事態は珍しくありません。
私はしばしばウィキを参考に記事イメージを構築していくのですが、特に歴史系のページでは情報の鮮度がイマイチなものも。
当時は正しかったのでしょうが、現代で見ると非常に遅れていると言わざるを得ません。
もっとも、これに関しては書籍でも全く同様の問題が起こります。
しかし、書籍の場合は発売年を確認すれば最新の研究動向が反映されているかどうかは明らかですし、その点はウィキと大きく異なります。
一応ウィキも「最終編集日」は付されているのですが、一見するとどの部分を直近に編集したのかはわからないようになっています。
3.出典や参考文献が付されていないこともあり、信頼性に難がある
研究論文を書いたことがある方ならば必ず知っていると思われますが、基本的に出典の明記や参考文献表の記入がなされています。
ウィキも規則上はそれらを「必須」としている一方で、実態としてそうした情報が不足しているページは無数に公開されているのです。
これについても、編集者が「要出典」のようなマークをつけることで一応の対策がなされていますが、マイナーなページではその作業すらも手が届いていません。
確かに、読者側がその点に気を配ってページの取捨選択を行なえば済む話ではありますが、この点もやはり「ウィキペディア」というサイトそのものの信頼性を損なう大きな要因になっています。
ここまでの内容から分かる方も多いかもしれませんが、ウィキの方針は全体的に「性善説」的な色彩が強く、こと人間の悪意に対して非常に脆弱なサイトであると言わざるを得ません。
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