アンタッチャブルレコードを持つ男・イチローの通算成績と指標・記録を振り返る

野球ボールスポーツ

3.「メジャーリーガー」イチローの獲得タイトルと記録

イチロー
画像出典:https://cyclestyle.net/article/2016/06/30/37752.html

メジャーで過ごした約18年間に、イチローはさまざまなタイトルを獲得してきました。

また、上記のような成績や指標ではわからないような選手評価の方法として「記録」というものがあります。

記録の更新という行為は、結果につながるというよりもむしろ我々に与えるインパクトの大きさが絶大です。

そのため、選手を歴史上に位置付けるという意味でこれを外すことはできません。

なお、データの出典はすべてWikipediaです。

1.「メジャーリーガー」イチローの獲得タイトルなど

首位打者:2回(2001年、2004年)
盗塁王:1回(2001年)
新人王(2001年)
ア・リーグMVP:1回(2001年)
シルバースラッガー賞:3回(外野手部門:2001年、2007年、2009年)
ゴールドグラブ賞:10回(外野手部門:2001年 – 2010年)
オールスター選出回数:10回(2001年 – 2010年)

MLB全体のタイトルを挙げるとこのようになります。

特筆すべきは、やはりゴールドグラブ賞の受賞回数でしょう。

打撃面では常に安定した成績を残すことに定評があった一方で、単年成績では誰かしらに上回られている年も多かった印象があります。

しかし、守備面は常にリーグ最上位に位置していたことを受賞回数で証明しています。

2.「メジャーリーガー」イチローの記録

正直、ここまで見てきた指標やタイトルよりも、イチローの伝説を語る上では「記録」の存在が欠かせません。

イチローは数々の記録を更新してきましたが、そのインパクトには絶大なものがありました。

シーズン安打:262(2004年)
シーズン単打:225(2004年)
シーズン200安打以上:10回(2001年 – 2010年)
シーズン5安打試合:4回(2004年)
シーズン月間50安打:3回(2004年5月・7月・8月)
シーズン安打試合数:135(2001年)
両リーグ最多安打:7回(2001年、2004年、2006年 – 2010年)
5年連続両リーグ最多安打(2006年-2010年)
デビュー以来10年連続200安打(2001年 – 2010年)
10年連続200安打(2001年 – 2010年)
連続4シーズン最多安打:930(2004年 – 2007年)
外野手1イニング2補殺(2003年5月25日5回表)
右翼手最多刺殺:7回(2001年 – 2005年、2009年 – 2010年)
5年連続右翼手最多刺殺(2001年 – 2005年)

上記で挙げたものは全てMLB記録で、特に安打系の記録が多いことは言うまでもありません。

特筆すべき記録は、やはり2004年の安打記録でしょう。

これらの記録は100年以上更新されておらず、「アンタッチャブル・レコード」と呼ばれていました。

つまり、現代日本で先発投手が400勝を挙げることが不可能に思われるのと同じように、現代という時代で更新されることはないと考えられていたのです。

それを更新したという事実だけで、イチローの名が歴史に残ることは確定しています。

3.「メジャーリーグの歴史」におけるイチローの位置づけ

アメリカ野球殿堂博物館 レリーフ
画像出典:Plan pack go

さて、ここまでイチローの歩んできた道筋を整理し、数々のデータや記録を紹介してきました。

筆者としても、この記事を執筆する過程で改めてイチローの偉大さを実感しています。

そこで、いよいよかねてから触れていた「メジャーリーグの歴史」におけるイチローの位置づけをしてみたいと思います。

まず、改めてイチローの優れている点を整理してみます。

1.打撃全体ではベーブルースやタイカッブなどのレジェンドに劣るところはあるが、安打製造機としては史上屈指

2.走塁面も優れており、MLB全体の歴史でも高評価

3.守備面は特に素晴らしく、外野守備では歴代でも上位間違いなし

4.「走・攻・守」が極めて高いレベルで揃っている

5.上記に加え大きな離脱なく勤続して試合に出続け、パフォーマンスを持続している点が大きい

以上になります。

日本人でイチローを超える選手が出てきそうもないということが、このまとめだけでもよくわかっていただけるのではないでしょうか。

この情報から、実際にMLBの歴史に位置付けてみたいと思います。

まず、ベーブルースやタイカッブなどの「神様」レベルの評価を与えられるか、という点です。

これについて、もちろんイチローを貶める意味合いはないですが、残念ながらその域には達していないと考えます。

その理由について、彼らはもはや野球選手の枠を超えた「エンターテイナー」であり、アメリカ社会全体への影響力を考慮すると、彼らと同等に評価するのは難しいというためです。

ただ、そもそも彼らと比較の対象になる時点でこの上ない名誉であり、イチローの歴史的評価が下がることにはつながりません。では、その次の「超一流」選手の枠、具体的に言えばデレクジーターやカルリプケンなどと同様の枠にイチローは入るか。これについては、異論はあるかもしれませんが筆者は「入る」と考えています。

その理由は、単純な指標や単年の成績でみればこのラインの選手たちに劣る面がないとはいえませんが、三拍子が高いレベルでそろっていることや実績の継続性、また記録更新のインパクトはかなり大きな加点要素になると考えているからです。

実際に、上記の選手たちはイチローよりも成績的には上位ですが、アンタッチャブルレコードを更新するまでには至っていません。

そのため、イチローの実績でも十分に歴史的位置づけを同じくすることができると考えています。

また、上記の選手は言うまでもなく一発でアメリカ野球殿堂入りしているので、当然イチローも一発でアメリカ野球殿堂入りを果たすでしょう。そのため、野球殿堂をめぐる争点は「どれだけ得票率を上げられるか」になります。

個人的な予想としては、9割5分以上10割未満ではないかと踏んでいます。本当は10割と言いたいところなのですが、逆張りで入れないのが一人くらいはいそうな気もします。

4.まとめ

ここまで、メジャーリーグにおけるイチローの歴史的位置づけを検討してきました。

成績を振り返ると、改めて日本野球界100年に一度の伝説的選手であったことがわかります。

メジャーリーグにベーブルースを超えるスターが現れていないように、日本野球界にもイチローを超えるスターは現れないのではないでしょうか。

成績的にも、スター性という面でも、イチローはそれだけの選手ではないかと感じています。

イチローの現役生活を目撃できたことは、我々や上の世代にとって何よりの財産ではないでしょうか。

改めて、厚かましくも「現役生活お疲れ様でした」という気持ちでいっぱいになっている筆者なのでした。