ホールデンはサイコパスで中二病か?小説『ライ麦畑でつかまえて』のあらすじや考察、解説

ライ麦畑でつかまえて アイキャッチ アメリカ近現代文学
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最近公開されている映画の一覧を眺めていると、「ライ麦畑の反逆児/ひとりぼっちのサリンジャー」なる伝記映画が公開されているという事実を知った。

おそらく、もともとのサリンジャーファンほど、この映画が公開されたという事実に驚くのではないであろうか。

その理由は、サリンジャーが極端なメディア嫌いであったために、彼の生涯にはよくわかっていない部分が多かったから。

そういうわけでこの映画も当然気になるものの、あまり評判は芳しくないよう…。

まあそれはさておき、せっかくサリンジャーの映画が公開されているということで、彼の代表作である『ライ麦畑でつかまえて』(キャッチャー・イン・ザ・ライ)を紹介してきたい。

一応、ネタバレには注意されたし。

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『ライ麦畑でつかまえて』の作品情報

まず、本作に関する基本的な作品情報を整理しておく。

作者 J・D・サリンジャー
執筆年 1951年
執筆国 アメリカ
言語 英語
ジャンル 青春小説
読解難度 やや読みにくい
電子書籍化 ×
青空文庫 ×
Kindle Unlimited読み放題 ×
作者は気難しいことで知られるアメリカの偉大な作家・サリンジャー。
本作で描かれる主人公・ホールデンの生きざまは多くの米国民に強い影響を与え、物議をかもした。

『ライ麦畑でつかまえて』の簡単なあらすじ

主人公である16歳の高校生、ホールデン・コールフィールドは学校の成績が振るわず、名門高校であるペンシー校から退学処分を言い渡されます。

そんな状況のなかで、クリスマス休暇前の土曜の夜に、彼はルームメイトであるストラドレーターと喧嘩をして寮を飛び出すことに。

彼は、親元に退学通知が届くまでは家に帰らないと決意し、ニューヨークに戻って怪しげなホテルに宿泊。

それから日曜の夜になるまで、友人やガールフレンドたちに会ったり、電話をしたり、女の子たちとダンスを踊ったり、ホテルで売春婦を斡旋する男に金を巻き上げられたり、酒を飲んで酔っぱらったりと、さまざまな経験をします。

そんななか大好きな妹であるフィービーに会いたくなったので、日曜の夜にほんの一時だけこっそりと家に帰ります。

そしてフォービーを学校から呼び出して、公園へ出向く2人。彼は雨でずぶ濡れになりながらも、回転木馬に乗る妹を見て、とても幸福な気分となりました。

出典:https://honcierge.jp/articles/shelf_story/6242

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『ライ麦畑でつかまえて』作品評価や影響力の解説

本作は、アメリカの若年層を中心に大ベストセラーとなった一方、その「狂った」内容から、賛否が激しく分かれる作品となった。

以下では、こうした作品受容の歴史を中心に解説を加えていく。

大ベストセラーとなるも、内容が絶えず問題視された

本作は1951年に刊行されると、ホールデンの痛烈な社会批判が若者を中心に支持され、現代まで絶えず読み継がれる大ベストセラーとなった。

しかし、内容の過激さからくる若年層への影響を懸念した保守的な読者からは強い批判にさらされ、とくに教育界では「禁忌」とされるほどであった。

実際、アメリカでは「道徳的に問題のある作品」という烙印を押され、全米の学校や図書館から本作が撤去されたという歴史を有するほど。

我々からすると「少し過激な反応ではないか?」と感じるかもしれないが、本作の愛読者が次々と事件を起こしたという事実も見逃せない。

有名なものとして、1980年に発生したビートルズのギタリスト・ジョンレノン暗殺事件の実行犯であるマーク・チャップマンは、本書の愛読者であったことが知られている。

むろん「人の心にそれほどの影響を与える」という意味でいえば、本作の文学的価値が極めて高いというのは間違いない。

良くも悪くも若年層に絶大な影響を及ぼし続けてきた作品であり、ぜひ社会に出る前に一読されることをオススメする。

ちなみに、日本で大ベストセラー作家として知られる村上春樹は本作の大ファンであることを公言しており、自身で翻訳本まで出した。

他にも、大人気SF漫画『攻殻機動隊』のアニメでは、本作のオマージュ要素として「笑い男」が主題として取り上げられるなど、日本のエンタメ界にも多大なる影響を与えている。

もちろん、読んだからといって殺人犯になることはないので、安心してほしい(笑)

一躍売れっ子作家になったサリンジャーだが、表舞台から姿を消すように

本作は今日に至るまで全世界で実に6500万部を売り上げる大ベストセラー作品であり、当然ながら著者のサリンジャーも一躍脚光を浴びた。

しかしながら、不幸にも彼はスターダムでふんぞり返るというよりは、物静かな生活を望む男であった。

売れっ子になったことでメディアに追い掛け回されたことや、作品の内容が物議をかもしたことそれ自体に嫌気が差したのであろう。

彼は1955年ごろから人里を離れて生活するようになり、社会からの孤立を選択した。

それは作家としても例外ではなく、1965年に『ハプワーズ16、1924年』という本を出版して以降、彼の作品が公開されることはなかったのである。

晩年の生活はほとんどが謎に包まれていたものの、地域に溶け込んだ小市民として静かな暮らしを送った。

そして2010年、沈黙を保ったまま自宅にて91歳の生涯を終えたのである。

作家引退から半世紀近く経過していることもあり、もはや「歴史上の作家」というイメージが強いサリンジャー。

しかし、ほんの10年前まで彼が静かに生きていたという事実は、意外と知られていないのではないであろうか。

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