本日は、ようやく!公開が決まったエヴァンゲリオン新劇場版最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に備えて、新劇場版第一作目となる『エヴァンゲリオン新劇場版:序』を振り返りつつ解説していきます。
序は内容に関して大きくTVアニメ版と変わるところがないため、あらすじに関しては簡単な紹介にとどめたいと思います。
その代わりに、旧作との間にみられるさまざまな違いを指摘し、その違いが生じた理由と「シンエヴァ」まで残されている謎について考察していく内容が主な内容です。
また、以前書いた漫画版エヴァンゲリオンの記事も内容の把握に役立つかと思いますので、こちらも合わせて読んでいただくことをオススメします。
1.『エヴァンゲリオン新劇場版:序』のあらすじ
画像出典:Amazon
2007年9月1日に公開され、全4部作のうち、序章的な位置づけにあたる。本作のベースとなったのは、TVシリーズのうち第壱話から第六話まで。
14歳のシンジ少年が汎用ヒト型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオンに乗って正体不明の敵性存在「使徒」と戦い始める契機と、自分の暮らし、友人、街など身近なものを認識する過程が、丁寧なタッチで再び語られ、1本の映画として再構成されている。
クライマックスは、国家規模のオペレーションを描いた「ヤシマ作戦」。日本中の電力を箱根の一点に集め、シンジのEVA初号機が狙う陽電子砲の起動エネルギーとする大プロジェクトだ。
自在に変形と攻撃を繰り返し、ネルフ本部へ侵入しようとする使徒。人類すべての運命が自分の双肩にかかったとき、シンジの心中に芽生えたものは・・・。
出典:Amazon
このように、ストーリーはほとんど旧アニメ版と同一です。
ただ、漫画版同様「ほとんど」という点が肝心であり、そこには些細な違いが潜んでいるのです。
2.『エヴァンゲリオン新劇場版:序』の解説・考察
ここからは、いよいよ作品の内容を解説していきます。
作中内で変更された設定には、単に便宜的な理由で旧アニメより変更されたものから、意味深なものまでさまざまな変更があります。
そのうち、作品の根幹にかかわりそうなものを3つほど取り上げます。
そのなかには破とQが公開された今だからこそ意味が分かるものもありますので、今後に向けて作品の謎を解くための素材としていければ幸いです!
なお、出典元はこのサイトです。
1.「序」では劇中の舞台が何年か分からなくなっている
画像出典:https://gigazine.net/news/20150424-schick-eva-shave-impact/
旧アニメ版では、作中の舞台が西暦2015年であることが明記されています。
しかし、「序」ではこれがどこを探しても明記されておらず、何年を舞台にしているのかが完全に謎となっています。
これは、今考えれば「序」の世界が序盤の時点で既に旧アニメ版とは異なる時間軸にいたことを表していたのかもしれません。
我々旧作からのファンは、ファンであるがゆえに勝手に舞台が西暦2015年だと思い込んでいたのではないでしょうか。
そこを上手に突いた、巧妙な謎の提示だと感じました。
ただ、意図的に西暦を明かさないことで「現実感を奪う」という作用を期待したという見方もできれば、単純に西暦2015年を舞台だと明記する必要がないと判断されて外されたという見方もできます。
このあたりの理由はいまだに一切明かされていないので、「シンエヴァ」で答えが得られることを期待したいところです。
このように、破とQを見た後だからこそ「序」の時点で様々な伏線が張り巡らされていたことに気づかされます。
実際に破以降の作品では物語の展開が大きく異なっていくので、単なるリメイクではないことを暗示していたといえるでしょう。
2.倒すべき使徒の数を「13体」と定義している
画像出典:https://gigazine.net/news/20130627-schick-eva-kaji/
第6の使徒(旧アニメ版ではラミエルという名が与えられていたが、これが外されている)との戦闘前、ゲンドウが冬月に「あと8体の使徒を倒さねばならん」と発言しています。
しかし、エヴァファンはお気づきかと思いますが、旧アニメ版準拠であればこの時点で残されている使徒の数は第6使徒を含めて12体存在しなければなりません。
なぜなら、旧アニメ版では全部で18体の使徒が登場していたからです。
一方、「序」の使徒数は、単純に足し算するとそれよりも5体少ない13体しか確認できません。
では、この5体の使徒は一体どこへ行ってしまったのか。ただし、その答えは触れられなかった使徒のラインナップを見ていくと、ある点を除けば単純に解決できます。
まず、事情がハッキリしていて触れられなかった使徒は、第6使徒ガキエルです。この使徒は「破」でオリジナルの使徒に作り替えられています。
ただ、その理由は「旧作の原画を紛失して再現ができなかった」という極めて現実的なもので、あくまで製作上の都合と明かされています。
他にカットされたと思われる使徒は、第8使徒サンダルフォン・第9使徒マトリエル・第11使徒イロウル・第12使徒レリエルです。
また、第14使徒ゼルエル以降の使徒は、14使徒の存在によって世界観が一変してしまったため当然出番がありません。
そして驚くべきことに、これらのカットされた使徒は実は漫画版でも同様にカットされています。
これに気づいて「これは考察の余地がある!」と筆者は思いましたが、少し考えるうちにある単純な理由に気づきました。
そう、これらの使徒には「ぶっちゃけカットしてもストーリーの大枠に影響がない」という共通点があります。
そのため、尺の都合がある映画と漫画では、重要度が低いという理由でカットされてしまったと予想しました。
エヴァファンらしからぬ夢のない考察で大変申し訳ないのですが、私としてはこれが最有力だと考えています。
ただ、13体挙げられた使徒のうち、「Q」までで全く触れられていない使徒が1体だけいます。
それは第11使徒で、この使徒に関しては特徴どころか存在の有無さえも一切言及されていません。
そのため、「シンエヴァ」で正体が判明するのではないかと踏んでいます。
3.人類補完計画が旧作よりも進捗している
画像出典:エヴァ@wiki
旧アニメ版では、ゲンドウがゼーレに人類補完計画の進捗状況を報告する際の資料に「第17次中間報告」と印字されていました。
しかし、「序」ではこの部分が「第27次中間報告」と印字されています。
どちらの作品も一見同じ場面でこの部分が視聴者に公開されるので、我々はこうした細かい部分まで注意を向けませんでした。
しかし、ほぼ同じ状況に見えてこれほど数字がずれているということを知ると、何か意図的な変更であると考えざるを得ません。
まず単純に考えると、旧アニメ版よりも人類補完計画が何かしらの事情で進んでいるor遅れているために、印字の数字部分が大きくなったということが指摘できます。
次に、この世界は旧作とは違ったパラレルワールド上に位置しており、同様の場面に見せかけたミスリードを数字で示唆しているという可能性が指摘できます。
個人的には後者の指摘のほうが他の謎と整合性が取れるので、こちらを支持したいところです。
ただし、新劇場版の人類補完計画に関しては「Q」でも具体的なことが一切語られていないので、この謎も「シンエヴァ」の公開で解明されることを期待するほかなさそうです。
3.まとめ
ここまで旧アニメ版と「序」を比較し、今後に向けて指摘する価値があると判断した違いを3つほど指摘しました。
そのどれもが非常に些細で油断していると見逃してしまいそうなものでありながら、よく考えると重要にも思えてきます。
しかし、どの謎もまだ答えを出すには情報が不足しており、これらの謎を「シンエヴァ」が解消してくれることを期待するほかありません。
前作の「Q」はファンの筆者でも思わず頭を抱えたくなるほどの出来でしたが、今作はその反省を生かしてよいものが生まれることを期待しましょう!
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